福島地方裁判所白河支部 昭和44年(ワ)14号 判決 1969年4月25日
主文
被告は、原告に対し金七〇万円を支払え。
訴訟費用は、被告の負担とする。
事実
原告は、主文同旨の判決を求め、その請求原因として原告は、訴外有限会社丸善鉄工所に対する郡山簡易裁判所昭和四三年(ロ)第四六三号仮執行の宣言を付したる支払命令正本に基いて約束手形金八〇万円の支払を求めるため、同訴外人が被告に対して有する工事代金債権七〇万円に関し、福島地方裁判所郡山支部に差押命令と転付命令の申請をなし、その頃右命令が出て、右正本は、同訴外人に昭和四三年一二月二七日、被告に同年一二月二一日夫々送達された。
よつて原告は、被告に対し工事代金七〇万円の支払を求める。
尚、原告は、本件債権に関しては、同支部昭和四三年(ヨ)第六五号債権仮差押事件に於て仮差押の決定を受け、右決定は、同年九月八日第三債務者である被告に送達済である。又被告が昭和四三年九月七日弁済した事実は、否認する。仮りに弁済済だとするならば、その日は九月二〇日である。
被告は、原告の請求を棄却する、訴訟費用は、原告の負担とするとの判決を求め、答弁として被告と訴外有限会社丸善鉄工所間の債務は、昭和四三年九月七日付を以て決済をした。よつて原告の請求には応じられない。
理由
陳述したものとみなされる答弁書によると被告は、訴外有限会社丸善鉄工所に対する工事代金債務は、昭和四三年九月七日付を以て弁済を了した旨抗争するが、この点を何等証拠によつて明かにしない。
そして原告がその主張する内容の債権差押と転付命令を得て、これがその主張の年月日に各当事者に送達になつた事実については、被告に於て争いはないところである。
よつて原告の被告に対する請求は、理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用し、主文のとおり判決する。